マッチ売りの少女 ~ 金閣寺
『マッチ売りの少女』
米倉斉加年の絵本初作品ですが、実際に6年間お蔵入りの後に出版されたというもの。さすがに後の洗練された筆致には及ばないものの、画風は完全に確立されております。タイトルにも大人の絵草子とありますが、内容は、ポルノフレーバーの切ないお話です。私は個人的には野坂昭如の文章は読みづらくて好きではないのですが、米倉斉加年の絵との相性はいいようです。文は斜め読みで絵だけをじっくり眺めるでもいいと思います。
長いお正月休みにおすすめの一冊。
金閣寺放火事件と言う実際に起きた事件にインスパイアされ、自身の肉体改造の時期とも重なった三島由紀夫が、入念な準備をして執筆した作品だそうですが、吹き出す場所がなくなってしまったにきびが一気に炸裂したような強烈なパワーがあります。
内容に関しては今更ここにくだくだ書く必要はないと思いますが、この作品の凄さというのは一体なんなのかと問われるならば、主人公である学僧がいかにして(いかなる理由で)金閣寺に放火するに至ったのかを丁寧に説得力のある表現で記述し、最終的には読者に納得させてしまう点にあると思います。
未読の方は、是非この長いお正月休みにどうぞ。
画像は長年私が愛用(愛読)しているブックカバーをかけた文庫本です。