ちゃーりーはかめのぶろぐ

人生はエビフライ♪

『愛、アムール』 ~ 『アンコール!!』

 
 
注意!
ネタバレバレバレ
バレバレバレ
 
 
 
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愛、アムール』 (Amour)2012年・オーストリア・フランス・ドイツ

監督:ミヒャエル・ハネケ 脚本:ミヒャエル・ハネケ 製作:マルガレート・メネゴス
製作総指揮:ウーヴェ・ショット 撮影:ダリウス・コンジ 編集:モニカ・ヴィッリ、ナディン・ミュズ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャンエマニュエル・リヴァイザベル・ユペール
 
 
 冒頭のシーンは相当にショッキングなのですが、場面が変わって十数秒もしたら、冒頭シーンを忘れてしまいます。一瞬、「愛に満ちた老夫婦の物語なのかな?ハネケらしくないじゃん!?」と観客に思わせてしまう巧みな演出!でもそれはもう始めっからハネケの邪悪な罠だったのでありますよ…。そして映画のラストと冒頭のシーンはつながってることに最後まで観て初めて気づくと…。
 
 とはいいつつも、『ピアニスト』(2001年)や、『ファニーゲーム』(1997年/2008年)のように途中で観るのが辛くなるようなことはないようにきちっと配慮(?笑)はなされています。あたかも老人のようなテンポの遅さ(ゆったりしているのではない)とエイドリアン・ラインのような光の演出が印象的な美しい映像が刺々しさをオブラートのように包み、タッチを柔らかくしているのです。
 
 特筆すべきは主演のジャン=ルイ・トランティニャンエマニュエル・リヴァ。かの名優トランティニャンは、その辺によくいるやや偏屈な爺さんになりきって(あるいは実際にそうなのかも…)おり、妻役のリヴァは女性にしかない独特の頑固さと一種の潔癖さを演じることにより、夫との対比をうまく表現していますね。娘役のイザベル・ユペールの心象表現も見事で、観る者誰もが現在の、あるいは未来の、あるいは過去の自分の姿と重ね合わせてしまい、しかもかすかに共感してしまうという不思議さ。そう!そこにこの映画の過去のハネケ作品にはない特殊さがあるのかもしれません。
 
 『ピアニスト』は恋愛ドラマ映画のパロディで、『ファニーゲーム』はスリラー映画のパロディなのだそうですが、この映画は一体なんのパロディでしょうか?私には老老介護そのもののパロディと写りました。本当にハネケっていやなやつ…。最初からカンヌのパルム・ドール連続受賞狙ってたんだろうな~。でもそれでとれちゃうんだから大したもんだわな~…。
 
 
 
映画のストーリー(Movie Walker より)
 パリ都心部の風格あるアパルトマンに暮らすジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)は、ともに音楽家の老夫婦。その日、ふたりはアンヌの愛弟子のピアニスト、アレクサンドル(アレクサンドル・タロー)の演奏会へ赴き、満ちたりた一夜を過ごす。翌日、いつものように朝食を摂っている最中、アンヌに小さな異変が起こる。突然、人形のように動きを止めた彼女の症状は、病による発作であることが判明、手術も失敗に終わり、アンヌは不自由な暮らしを余儀なくされる。医者嫌いの彼女の切なる願いを聞き入れ、ジョルジュは車椅子生活となった妻とともに暮らすことを決意。穏やかな時間が過ぎる中、誇りを失わず、アンヌはこれまで通りの暮らし方を毅然と貫き、ジョルジュもそれを支えていく。離れて暮らす一人娘のエヴァ(イザベル・ユペール)も、階下に住む管理人夫妻もそんな彼らの在り方を尊重し、敬意をもって見守っていた。だが思い通りにならない体に苦悩し、ときに「もう終わりにしたい」と漏らすアンヌ。そんなある日、ジョルジュにアルバムを持ってこさせたアンヌは、過ぎた日々を愛おしむようにページをめくり、一葉一葉の写真に見入るのだった。アンヌの病状は確実に悪化し、心身は徐々に常の状態から遠ざかっていく。母の変化に動揺を深めるエヴァであったが、ジョルジュは献身的に世話を続ける。しかし、看護師に加えて雇ったヘルパーに心ない仕打ちを受けた二人は、次第に家族からも世の中からも孤立していき、やがてジョルジュとアンヌは二人きりになってしまう。終末の翳りが忍び寄る部屋で、ジョルジュはうつろな意識のアンヌに向かって、懐かしい日々の思い出を語り出すのだった……。
 
 
 
 
 
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アンコール!!』 (Song for Marion / Unfinished Song)2012年・イギリス
 
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ 脚本:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
製作:ケン・マーシャル、フィリップ・モロス 製作総指揮:アリステア・D・ロス、タラ・モロス、
クリスティアン・アンガーマイヤー、マルク・ハンゼル、ジュディ・トッセル、ティム・スミス、
ポール・ブレット、ボブ・ワインスタインハーヴェイ・ワインスタイン
音楽:ローラ・ロッシ 主題歌:セリーヌ・ディオン「Unfinished Songs」
撮影:カルロス・カタラン 編集:ダン・ファレル
出演:テレンス・スタンプヴァネッサ・レッドグレイヴジェマ・アータートン
 
 
 もうベタでベタで気が遠くなるほどベタベタのプロットなのですが、いいんですね~、これが^^。特に『愛、アムール』の後で観るには最適な一本かと…(笑)。一応大きなテーマの一つが音楽なのですが、その音楽そのものに対する思い入れはあまり感じられませんし、登場人物たちの音楽に対する思いみたいなものも全く描きこまれておらず、その点においては中途半端でもの足りない作品ではありますが、それはまぁここではよしとしておくことにしておきます。それと、これは多分コメディだと思うのですが実際にはさっぱり笑えないところもミソかと…。
 
 名優テレンス・スタンプが驚異的に偏屈で頑固で汚いじじいを好演しておりますね~。実は私はテレンス・スタンプが大好きでして、何が好きって声が好きなんですね~。特に歳とってからのちょっとビブラートのかかった素敵な響きのようなお声が好きなのでありますよ。本作でも彼の声にスポットを当てておりまして、それは大正解なのであります。実際に歌うシーンはダブルなのかもしれないですが、スタンプの声(響き)をよく生かしています。
 
 妻役のヴァネッサ・レッドグレイヴはお世辞にもナイス・キャストとは言えないし、ジェマ・アータートンクリストファー・エクルストンは全くミス・キャストというか、なんで?というようなキャスティングで、プロットも雑だしつっこみどころ満載の凡作ではありますが、愛を感じます♥