さよなら、アドルフ
『さよなら、アドルフ』
(Lore)
2012年/オーストラリア・ドイツ・イギリス
原作:レイチェル・シーファー『暗闇のなかで』
製作:カーステン・シュテーター、リズ・ワッツ、ポール・ウェルシュ、ベニー・ドレクセル
製作総指揮:マーガレット・マシスン、アニタ・シーハン、ヴィンセント・シーハン
音楽:マックス・リヒター
出演:サスキア・ローゼンダール、カイ・マリーナ、ネレ・トゥレープス、ウルシーナ・ラルディ
ナチの高官を親に持った5人の兄弟姉妹(赤ん坊含む)の過酷な運命と決して光がさすことはないことを暗示するラストに胸が痛む秀作。子供たちの心理描写が秀逸で、監督のきめ細かな気配りが痛々しさを際立たせる。(ところで、私事で恐縮ですが、冒頭で映される鍵十字のついた軍服がヒトラーユーゲントの制服だということに最初気がつかなかったのは痛かった。)
映画のストーリー(Movie Walkerより)
1945年春、敗戦後のドイツ。ナチ親衛隊の高官だった父(ハンス=ヨッヘン・ヴァーグナー)と母(ウルシーナ・ラルディ)が、連合軍に拘束される。置き去りにされた14歳の少女ローレ(ザスキア・ローゼンダール)は、幼い妹、弟たちを連れ、900キロ離れた祖母の家を目指す。終戦を境に何もかも変わってしまったドイツでは、ナチの身内に対する世間の風当たりは冷たく、たとえ子供であっても救いの手を差し伸べる者はいなかった。そんな中ローレは、ナチがユダヤ人にしてきた残虐行為を初めて知る。さらに、ローレたちを助けてくれるユダヤ人青年トーマス(カイ・マリーナ)が旅に加わり、ローレがこれまで信じてきた価値観やアイデンティティが揺らぎ始める……。